ピティナ・ピアノセミナー

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ピアノのしくみ キッズ編 開催レポート

開催レポート
ピアノのしくみ キッズ編

1月17日(土)に東音ホール(東京・巣鴨)にて「ピアノのしくみ キッズ編」のセミナーが開催されました。 講師はこれまでも指導者向けに「ピアノのしくみ」セミナーを開催いただいている調律師の鶴田圭寿さん、そして司会進行はクラシック音楽ファシリテーターの飯田有抄さんが務めました。「独立行政法人 国立青少年教育振興機構 子どもゆめ基金」の助成事業として小学生向けに企画されたこのセミナーは、午前と午後各回親子10組ずつの参加枠が、募集開始とともに定員御礼となりました。

それぞれの参加者の机の上には、グランドピアノのアクションモデルが1人1台用意され、ワクワク感が高まります。鶴田さんはまず、「みんなと一緒にこのピアノの名前を調べましょう」と言って、早速子どもたちをピアノの周りに呼び寄せました。そしてピアノ本体に書かれているメーカー名や型、番号を子どもたちに読み上げてもらいました。「この番号はこのメーカーが何番目に作ったピアノかという番号で、世界にたった一つしかない名前なんです。だからこの番号を調べると、このピアノがいつ作られたかということも分かります」と鶴田さん。

続いて、このピアノの身体検査です。一番低い音を出す弦、真ん中のドの弦、一番高い音を出す弦の長さや太さを子どもと一緒にメジャーで測り、ワークシートにどんどん書き込んでいきます。1つの音につき弦は1本ずつ張られているわけではなく、高音になるにつれ3本になっていくことも、見て確かめました。そして高音を出す鋼鉄の弦と、鋼鉄の周りを銅線で巻いた低音の弦の見本を持たせてもらうと、太さや重さの違いが分かるだけでなく、1本だけでもずっしりとした重みがあることが感じられます。「この弦をピンと張るには、1本あたり80kgの力が必要。だから、君たちが2、3人反対側からぶら下がらないと、張れないわけです。それが230本分、このピアノにかかってくるのです」と話しました。

鶴田さんは、何度も子どもたちをピアノの前に呼び、ダンパーのついている場所、形や角度が途中で変わっていること、アクション部分を取り外してハンマーの動く様子や、ペダルを踏んだ時にダンパーが内部で上がっている様子などを、近くで見て確かめさせてくれました。その度に子どもたちは驚きの表情を見せ、どんどん興味をそそられていきました。

次にアクションモデルを使って鍵盤を押して音を出す仕組みを学びました。「鍵盤を押す」と「ハンマーが上がって弦を打つ」との間にある「ウィペン」(ドイツ語で「シーソー」)の複雑なメカニズムを、手に取って動かしてみながら教えてもらいました。1821年に発明されたこの「ダブルエスケープメント」のおかげで、グランドピアノは1秒間に14回もの連打が可能になったこと、ベートーヴェンが作曲を始めた頃とショパンやリストが作曲を始めた頃とでは、前提となったピアノの能力が違ったのだということも分かりました。

調律師のお仕事の一つである「タッチの調整」も少しだけ体験させてもらいました。1つ目は鍵盤の下に挟まれている紙の枚数を変えることにより、鍵盤の深さを変えること。実際に4枚分変えてみると、確かに押し心地が違います。また、鍵盤やウィペンについているネジを調節することで、ハンマーと弦との打弦距離や、タッチの感覚にかかわる「レットオフ」の加減を変えることもやってみました。アクションモデルの色々な部分に注目しながら鍵盤を何度も押してみることで、鍵盤の重さが、「鍵盤の押しはじめ」、「ダンパーの動きはじめ」、「レットオフから弦を打つまで」と、3段階に変わることも確かめました。

最後には子どもたちからの質問もたくさん集まりました。「グランドピアノとアップライトピアノの弦の張り方の違いは?」「グランドピアノの低い方の弦はどうして斜めに張ってあるの?」「低い弦の反対側に挟まっているフェルトの役目は?」「グランドピアノの方がどうしてよく響くの?」など様々な質問に、実物を見せながら丁寧に教えてくださいました。「調律って?」という質問には、1つの音に張ってある3本の弦のうち1つだけを緩めて、3本の弦の音の高さが揃わないと気持ちが悪い、ということを体感させてくれました。

質問ボードの写真

ピアノを習っている子たちは、知識としては知っている子、グランドピアノの中をのぞいたことがある子はいても、楽器の中の見えない部分で何がどう動いているのかまではなかなか実際に見て確かめることはできません。今回はさらに、自分たちでやってみることで、その細かい違いが変わると音やタッチにどのくらい影響があるのか、というところまでを体感することができ、とても貴重な機会となりました。

参加者の感想より
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「ピアノのしくみキッズ編」は子どもゆめ基金助成活動として実施しました。
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