ピアノの練習時間に関するアンケート結果報告
ピアノが上達するには、レッスンでの先生からの指導に加えて、毎日の「自宅練習」が重要です。ピティナ・東音企画ではレッスンとレッスンの間の自宅練習のあり方に着目しています。
2023年6月にもピアノ練習時間アンケートを実施、自宅練習支援システムの試作品のモニターを募集してまいりました。
今回はセミナーレポートへの回答に多い「生徒が練習(宿題)をしてこなくてどうしていいかわからない」というお悩みを受けて、
より広範囲の生徒さんの保護者と、指導者に以下のアンケートを実施いたしました。
- 実際の練習時間/自由記述
- 生徒に期待する練習時間/自由記述
保護者からの回答2065件、指導者からの回答617件によるアンケート結果をご報告します。
- はい(97.9%)
- いいえ(2.1%)
ほとんどの先生が、家での宿題、練習を促していることがわかります。では、満足度はどうでしょうか。
- ほぼ100%(2.6%)
- 70%以上(25%)
- 30~70%(45.5%)
- 30%未満(26.9%)
概ね満足という割合が3割、もう少し頑張って欲しいと感じているのが7割という結果です。
では、指導者がこれぐらい練習して欲しいな、という思いと生徒の練習時間に差はあるのでしょうか。
いかがでしょうか。
指導者が思っているよりも長い時間練習している生徒もいるかもしれません。「練習をしてこない」=練習時間が少ない、ではないとすると、指導者がしてきて欲しいと考えている練習と生徒が行っている練習が食い違っているかもしれません。
指導者は「できないところを練習してきてほしい。このような練習方法で」とレッスン中に知らせていても生徒の方では忘れてしまい、できないところは楽しくないからできるところだけ練習してしまった、という話もちらほらお伺いします。練習方法の伝え方、生徒・保護者への伝達方法に工夫が必要なのかもしれません。
また、保護者の方もお仕事が忙しく、練習に立ち合えないという悩みの記述も見られました。
東音企画/ピティナでは、 レッスンとレッスンの間の自宅練習のあり方 に着目し、自宅練習サポート事業を展開しています。「hiketa(仮称)」は現在、開発段階にありますが、実現すれば、生徒が楽しく自主性をもって練習し、ピアノを楽しく継続できるようになります。
「hiketa(仮称)」は、タブレットやスマホで自宅練習をサポートする開発中の新システムです。
特にピアノをはじめてから読譜力がついて、自分で楽譜が読めて弾けるようになるまでの生徒の自宅練習を促進させることを目的としています。
子どもが自主的に練習に取り組むことができ、ひとりで楽譜が読めるようになれば、保護者の方に多くの負担をかけることなく、ピアノを楽しみながら継続できる環境が整うのではと考えました。
さらに自宅練習で取り組んだ内容を指導者が閲覧できれば、生徒が取り組んだ練習(=プロセス)を褒めてあげることができて生徒のモチベーションの向上にもつながり、レッスンではより音楽的な内容に踏み込んだ指導をすることができると考えました。
「練習はしているのに成果がでていない」ことがわかったときは、宿題の出し方を考えるきっかけにもなるでしょう。
内容には、「ポイント制度」(努力の可視化)、「小さな目標の提示」(課題の細分化)、「AI採点」「具体的な練習方法の提示」(保護者の負担軽減)などを盛り込み、2023年10月~2024年2月にかけてモニターとしてご活用いただいた約68名の生徒さんからのアンケートにより約76.5%が「新システムを使ったことで自宅での練習が楽しいと感じた」とご回答いただき、本サービスの妥当性を確認することができました。
- ① そう思う(57.4%)
- ② ややそう思う(19.1%)
- ③ どちらとも言えない(5.9%)
- ④ あまりそう思わない(14.7%)
- ⑤ 全くそう思わない(2.9%)
今後は、サービス化に向けて、開発を進めてまいりますので、どうぞお楽しみに。
なお、とくに練習のやる気向上に効果があったポイント制度は、既にサービスを開始している、先生と生徒をつなぐ教室管理アプリ「Lesson Time」のクレフ機能にも盛り込まれていますので、ぜひお試しください。
保護者の方から、あったらいいと思うサービスの中で、「オンライン先で先生が練習に付き合ってもらうサービスがあると嬉しい」という声もございました。東音企画では、「オンライン音楽室」というサービスを提供しています。
オンライン音楽室は、お子さまひとりで「おうちでのピアノ練習をもっと楽しく」できるように、おうちでの練習を見守り、ピアノ学習をサポートするオンラインのサービスです。
練習中につまずいてしまうと、どうしてもなくなってしまうヤル気・・・。
お子さまが一人で練習に集中して取り組むのも難しいと思います。
そんなおうちでのピアノ練習をサポートするのが「オンライン音楽室」です。
チューターが保護者の方の代わりにお子さまの練習を見守ります。
「音やリズムはあっているかな?」、「この部分をもっと上手に弾くためにはどうしたらいいのかな?」といった、練習中にでてくる、小さな疑問に、チューターがやさしくお答えしています♪
現在、無料体験も受付中です。
1週間ご参加いただけますので、毎日のスケジュールとのバランス、コースの内容や雰囲気をしっかりとお試しいただける機会となります。
4月の新学期スタートに向けて、ぜひお気軽にご参加ください♪
習い事の多い生徒、中学生・高校生になりクラブ活動が忙しくなってきた生徒、大人の生徒などは、練習時間が思うようにとれないことも多く、指導者もそれは理解している、という回答が多く見られました。レッスンの中で楽しく音楽を学び、上達するという工夫をされている指導者もいらっしゃいます。eラーニングコンテンツ-『丹内真弓の「動く指シリーズ』では、生徒が練習できなくても、レッスンの中で使えるアイディアをたくさん紹介しています。
また、生徒の状況も十人十色。生徒の状況に合わせたレッスン展開をされている中嶋宏美先生のeラーニングコンテンツもぜひご参考いただければと思います。
指導者の皆様がどんな宿題を出され、工夫をされているのかをいただいた回答から抜粋、掲載いたします。
- ソルフェージュ・楽典・ワーク
- 新しい曲の譜読み
- 復習(間違えたところ、レッスンで直したところ)
- 一曲を一日最低一回は弾く
- 部分練習
- スケール、アルペジオ
などが主な宿題になっているようです。
- マスカード
- シール
- プレゼント
- レッスンノートの活用
- 練習音源を渡す
などという回答が多く見受けられました。
- レッスンノートを活用し、具体的に何を宿題でやってくるのかを書き出し。
- 練習してこない生徒は、簡単な初見をたくさんレッスンで弾かせています。
- 生徒とどんな練習をしてくるか一緒に決めます。どこまでどうな風にやってくる、もしくはチャレンジしてみるなど、生徒の口で言ったのを書き込んでもらったりします。 他はドリルやノートも出します。
- 新しい宿題は、必ず私が聴かせて、そこで聴かせた動画を送っています。また、聴かせた後に、できるだけ片手ずつ一緒に読んで帰します。
- 練習をあまり積極的にやらない生徒は、譜読みを一緒にし、ある程度片手練習にも付き合います。レッスンでやったことを復習として宿題にします。
- なるべく毎日決まった時間に練習することを促す
- テキストは3種類以上使って、それぞれに次回までの目標を設定して課題を出す
- 課題の内容について練習方法が曖昧になりそうな生徒さんには、「この部分は何回練習すること」など、部分や回数を具体的に指示する
- 入会時に毎日どのくらいの時間をピアノの練習に当てられるかを、入会申込書に記入する形になっています。生徒さんの1週間の練習日数やその日の練習時間が異なりますので宿題の量も内容も異なってきます。 翌週に合格がもらえる様に練習メニューに沿って仕上げることが宿題でしょうか。レッスンで合格がもらえなかった曲については、指摘された間違いや注意点を修正してくることが宿題になります。
- レッスンを始めて1年未満の生徒には時間ではなく回数で(例えば1日に10回弾くように) 1年以上の生徒にはピンポイントで(例えばこの4小節だけとか、左手だけとか) 個々の生徒にとってハードルを低くして、でも達成感は得られるような工夫をしてます。
- 曲ごとに、なにを、言われていたかを思い出す時間を作っています。また、なにを学んでるのか、なにができたら、合格になるか?を知らせてそれを達成できるように練習の仕方も確認します。
- まず、週にどのくらい練習時間が取れそうか、ご家庭やご本人と相談しています。そして、曲数、練習時間、練習回数などを決めます。
- 本人が何を練習するのか分からないと困るので付箋をつけたりレッスンノートを記入したり「何をしてくるか」意識してもらう工夫をしている。
- 定期的にイベントのお知らせを渡して、それに向けて練習し、参加された生徒は上達します。
- コーチングを使って自ら練習したくなるアプローチをすると同時に、子どもたちのタイプに合わせた声かけ、関わり方を意識しております。親御さんにも子どもとの関わり方についてのワークショップを開いたりしています。
- 必ずレッスンノートに宿題を記入して、保護者にも見てわかるようにします。 練習不足や、やって欲しいポイントも加えます。やってきたら、出来不出来に関わらず、楽譜の脇にシールをはり、日付を記入。暗譜合格や一回合格など、頑張った時は特別シールとメッセージを一言書き添えます。
- 比較的簡単に弾ける曲と少し難しい曲をバランス良く宿題に出している。 (必ず合格する曲と努力しないと合格しない曲など)
- まずはレッスン時間内に宿題曲を好きになるよう、模範演奏を聴かせたり、ポイントとなる部分を何回か弾いて楽しいと思ってもらうようにしています。レッスンノートに宿題を記入して最低何回弾くかは生徒さんと相談して(交渉して)決めています。レッスン中に家での練習を強くイメージしてもらうことが大切だと考えています。
- 連絡ノートに宿題一覧を書く。宿題部分に自分で付箋を貼らせる。どこまでやってくるかは、生徒と相談して生徒が納得して決める。 レッスンの後は、必ず保護者にLINEで当日のレッスンや次の課題、大事なところなどを伝える。わからない時は気軽にLINEで聞いてもらうよう伝える。など。
以前に比べて、子どもは様々な習い事もあり、忙しく、また、保護者の方も共働き家庭が多く、学校の宿題の時間をとるだけで精一杯など、各家庭の状況も様々。ピアノに通う目的も「楽しくピアノを弾けるようになる」「ピアノの上達と、本人の自己肯定感が上がるよう、各種コンクールで入賞出来るように」「音楽的なことはもちろん目標に向かってコツコツ積み上げる大切さや時間の使い方など、人生において今後も必要なこと」など本当に様々です。 そういった様々なひとりひとりが音楽を通じてどう豊かな人生をおくる手伝いをできるのか、今後も考えて参ります。