赤松 林太郎先生セミナー(渋谷オンラインセミナー・2021/09/24開催)
2021年9月24日(金)ににて赤松 林太郎先生をお招きし、「赤松林太郎徹底講座シリーズJ.S.バッハ フランス組曲全曲第6回(全6回)」をzoomオンラインにて開催いたしました。
最終回である今回は第6番の解説と共に、フランス組曲の総括的な内容の講座でした。
フランス組曲の演奏や指導する上で大切なのは、まず調性(第1番~3番は短調、第4番~第6番は長調)やテンポ(緩急暖の変化)、様式(フランス風/イタリア風)の違いから対比を意識する事で、赤松先生ご自身の演奏と、演奏家の演奏例と共に第6番について詳しく解説頂きました。
第6番は長調で、全体的に爽やか流れる様な舞曲のリズムで構成されている。
Allemande:フランス風、穏やかで幸福感に満ち、後半は属調で、高音域になるので、
より光あふれる音に。
Courante:イタリア風、乾いた音で。アーフタクトは弦楽器のボーイングの様な拍感で。
2回目の繰り返しには変化をつける。
アレグロ感の中に和音の響きの美しさを感じる(10,11,16小節目)
Sarabande:スコダ先生の著書「バッハ 演奏法と解釈」620ページ参照。
音を持続する手段としての装飾音はまろやかに、自由にすぎず、機械的でなく、音楽的に。
ゆっくりな曲を美しく仕上げる=楽器で歌う事を感じる。
どこまで遅くなっても3拍子の舞曲であることを忘れないで弾く。
Gavotte: 軽やかで喜びに満ちている。バイオリンのBowing, 装飾音を参考にすると良い。
始まりはアーフタクト(裏拍)ではなく2拍目始まりな事に注意する。
Polonaise: フランス語でポーランド風、気高く、誇り高く。
ベーレンライター版ではメヌエットポロネーズとなっている。ダカーポで対比を意識して弾くと
美しい。ポロネーゼの3拍子の拍子(3角形に1,2,3と一拍ずつ)を感じて。
Menuet:軽めな循環、1小節1拍で弾く。アーティキュレーションで変化を。
Bourree:2拍子の拍感で、生き生きと躍動感を持ち情熱的に。テンポは速めでVivaceに近く、
フィンガースタッカートで弾く。9小節目~拍感がなくなりがちなので、4分音符1個ずつの
巧みなアーティキュレーションをつける。
Gigue:フーガで書かれているが、厳格さを避け、感性を大切に。
インヴェンションスタイル。ジグの基本的な形を見せるアーティキュレーションをつける。
フランス組曲全体を通じて、演奏の正解は一つではなく、こう弾かなければ、というルールはなく、むしろ反則を知る事が大切で、その為には3つの原典版を参照し、当時のバッハの意図を想像し、色々な演奏を聴いて違いを味わい、自分のアイディアを得ていく、との事でした。バッハの楽譜は後になる程簡素化され、自由度が高くなっており、指導面では、即興を加えた装飾などを加え、
いわばダイアモンドを磨き上げる様に自由になる事を教える、という例えが大変印象的で、フランス組曲の演奏には沢山の可能性があり、常にその様な演奏や指導を求めていきたいと感じました。
第3回目よりオンライン講座に変更になり、ご参加の皆さまにも音声共有など、ご不便等もあったと思いますが、無事全回を終える事が出来、赤松先生並びに皆さまに大変感謝申し上げます。
Rep: 西川麻美子