ピティナ・ピアノセミナー

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赤松 林太郎先生セミナー(渋谷オンラインセミナー・2021/02/02開催)

赤松林太郎徹底講座シリーズJ.S.バッハ フランス組曲全曲第4回(全6回)
講師:赤松 林太郎

124年ぶりの節分の日になった2021年2月2日(火)に赤松 林太郎先生による「赤松林太郎徹底講座シリーズJ.S.バッハ フランス組曲全曲第4回(全6回)」セミナーをオンラインで開催いたしました。

今回の4番では、チェンバロとは機能も音色もスタイルも違うピアノでバッハらしく弾くには、どの様に弾けば良いのかを深掘りして頂きました。
フランス組曲は、ベーレンライター版の新バッハ全集に初稿と改訂版が収録されている。
①1720年代前半に最初に書いたシンプルな形の方は、自分の息子や生徒に課題として与えた為、アーティキュレーションを示すスラーや装飾音等が書き込んでいなくてアウトラインだけが書かれている。
②1730年代に書き直した改訂版は、スラーや装飾音等が書いてある模範解答だと言われている。
2つの大きな違いは1720年代の方は、メヌエットが無いが、1730年代の方は、メヌエットが有る。今回の第4番は、流動的な作りになっており、親しみを感じる曲である。

1、Allemande
フランス組曲で初めてのdurの曲で、祝福に満ちており平和で光を感じる曲である。3声で出来ており左手のベースがタイやシンコペーションでオルガン奏法の様に長い保続音でクレッシェンドしながら上がって行き、右手は和音の分散を分厚い弾き方で大きなフレーズ感
で進んでいく。タイで結ばれた音を少し溜めて入るイネガルは、和音が移ろう時の音色感や和音の変化を効果的に演奏出来る。
2、Courante
Gigueの様に見える早い曲で生命力や躍動感がありリズミカルな感じの曲である。1小節目からの右手の3連音符と左手の付点音符はヘンレー版では縦が揃っているが、ベーレンライター版では音符の位置がずれている。この時代は音符の位置がずれていても縦の線を揃えて演奏する事になっていたのでヘンレー版の様に演奏するのが普通だった。34小節目からの右手はヘミオラ感を強調して単調さを無くすと良い。
3、Sarabande
3拍子の舞曲で遅いが遅くなり過ぎない様に3拍子を維持出来るテンポが欲しい。心を込めて宗教的に演奏すると良い。エッガーのチェンバロの演奏では音をずらしたりテンポを自由に弾いたり和音に装飾音を入れて弾いているが、ピアノでは装飾音は控えめに弾くと良い。
4、Gavotte
2拍目から始まっている2拍子の軽やかな様式の曲で、強拍と弱拍のコントラストを付け過ぎない様に弾く。1小節目からの右手は、初稿ではスラーが無いが2稿目ではスラーがある。
5、Air
Airは新しい試みのスタイルで、天から恵みが降りて来る様に上からオクターブで降りて来るバッハらしい始まり方である。始めは少しアーティキュレーションを入れてレガートで撫でる様に柔らかい音色で弾くと良い。2小節目の左手の通奏低音は、手首を柔らかくして短めのスタッカートで弾くと良い。
6、Menuet
柔らかいギャラントな形で右手はスラーが細かく書かれているので軽く弾くと良い。左手は、軽いスタッカートで弾き始める。右手3小節目のトリルは、ゆっくり入ると良い。15小節目のトリルは、軽く少しイネガルにオシャレに弾くと良い。
7、Gigue
Gigueはフランスやイタリアにもあるが、元々イギリス発祥の踊りの曲である。原型はアイリッシュジグでフランスに入ると宮廷に入り振付師にフランスナイズされる。ジグはペアダンスではなく沢山の人数で踊るグループダンスである。
4番のGigueは、メロディーの拍をしっかり認識させる様に拍の頭にアクセントを付けて弾く。角笛のテーマで始まり「角笛のフーガ」と呼ばれているので1小節目からホルンで演奏している様に弾くと良い。右手のゼクエンツが8小節続く部分は、スラーでアーティキュレーションを作って、左手はデタシェで弾き立体感のある弾き方で弾くと良いが、弾き方は多彩で良い。27小節目からは主題が反行形になっているので鮮やかさを出すと良い。55小節目のトリルは、ゆっくり入って少しずつクレッシェンドしながら早くして行くと良い。

多方面からのアプローチ、演奏する際の選択肢を示してくださり、大変勉強になりました。
このシリーズは残り2回となりました。第5回(2021/5/14)、第6回(2021/9/24)はすでにWEBでお申し込みできます。 今後も大変楽しみです!                 

Rep:ピティナ武蔵小山ラポールステーション 栗原純子

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