中沖玲子先生セミナー(名古屋・2019/10/21開催)
フランスの音楽事情
~フランス近代作品の演奏のコツ~
~フランス近代作品の演奏のコツ~
2019年10月21日(月)日響楽器池下ホールにて、パリ・エコールノルマル音楽院の教授を勤められ、フランス作曲家の作品にも精通されていらっしゃるピアニストの中沖玲子先生に、現在のフランスを取りまく音楽事情についてお話頂きました。
まずはじめに、中沖先生ご自身のエピソードから?小さい頃からピアノに親しんでピアノを好きになる事が大事?とお話し下さいました。フランスのピアニスト、ルイサダも?小さい頃に教えてもらった先生に感謝している?と話していたそうで、中沖先生もご自身の先生に感謝していると話されました。早期のピアノ教育としては、日本でもフランスでも、ピアノを好きにさせる事が大事というお話しをされた上で、フランスの音楽事情をとてもわかりやすくお話し下さいました。
フランスの音楽事情について
- フランスの入試、コンクールでは先生のコネクションは全くなく、試験でも外部から審査員を招いたりして、審査はとても平等である。
- 学費がとても安い。パリ音楽院は無料。エコールノルマルでも日本の国公立大学の学費より安い。この点で日本と差がある。
- フランスではソルフェージュをとても重視している。フランスのレベルは高く、拍子、調性、小節数も知らされずに、いきなり弾かれた音を聴音する。調の判定も自分の耳で、和声や初見演奏も重視される。
- フランスは食べ物は見た目も綺麗で美味しく、誇りを持って作っている。フランスには今だに、中世のようなサロンがあり、食事をしながら音楽を楽しんでいる。
- 演奏会ではチケットを手売りする事は無く、町で普通に生活している人が楽しみに演奏会に来る...
この点でも生活の中に音楽があると言える。
フランス音楽について
フランスの作曲家の中でドビュッシーの「ゴリウォークのケークウォーク」「花火」を取り上げ、実際に若手ピアニスト演奏をしてもらいながら、解説して頂きました。
ゴリウォークのケークウォーク
- 子供の領分は、ドビュッシーの娘シュシュちゃんの為の絵本のような曲である。ケークウォークとは...ステッキを持ってつきながら踊るもので、ゆっくりめである。
- 当時絶大な人気だったワーグナーに対して、敬意と皮肉が混ざっているフレーズがあるなど...
花火
- 最後の部分にはフランスの国歌が使われている。
- 出だしのところは、花火の始まる前のフランス人達のおしゃべりしていると様子。
- 花火のテーマの部分の弾き方など...
また、フランス音楽の特徴としてパール奏法...真珠の粒のようにポルタートで弾く奏法が大事である事。アールヌーボーの影響を受けている事。フランスものは、客観的に弾く事。フランスのエスプリが大切である事など話されました。
最後に、「音楽をやっている人達が、音楽をやっていて良かったと思える世の中が来るといいと思います...」とおっしゃったお言葉がとても心に残りました。
同じように思います。
中沖先生、素敵なお話をありがとうございました。とても興味深くもっと聞いてみたいと思うセミナーでした。
Rep:ピティナ名古屋支部 林 公子