田崎 悦子先生セミナー(表参道・2018/11/15)
2018年11月15日(木)にカワイ表参道コンサートサロンパウゼにて田崎 悦子先生をお招きし、2週間前の11月1日に引き続き、 「ピアニスト 田崎悦子 大人のためのピアノ・ワークショップ Joy of Music 40+ Vol.12 第2回 -人前で演奏することをふまえた40才以上の方への公開レッスン-」を開催いたしました。
この公開レッスンシリーズの特徴は、全2回シリーズにすることによって、受講生のレッスンを通じての変化や新しい課題を 見つめなおす時間を設けることになります。受講生の皆さんからも、2週間の練習がどのように自分達の演奏に影響しているのか、 緊張しつつも楽しみにしていらっしゃる様子が伝わりました。
最初に受講されたのは、阪本歩子さん。ショパンの《ノクターン》作品27-1,2での受講ですが、前回のレッスンを経て創りたい 音楽の方向性がより明確に見える演奏でした。田崎先生はその変化をキャッチしつつ、さらに阪本さんの表現力を上げるために、 強弱のコントラストや声部同士のバランスのとり方について、細かく指導をされてゆきました。丹念に音楽作りをしているとレッスン時間は あっという間に過ぎてしまい、作品27-1がメインの内容となりましたが、阪本さんご自身も、また聴講されていた皆さんも、 ちょっとした音の抑揚の付け方や、特定の音型への気配りが、いかに演奏の味を変えるかを実感されていた様子でした。
次はシューベルトの《楽興の時》第4番と第6番で受講されている三浦陽子さん。前回、特に細やかな指回りを 要求される第4番について「エチュードにならないように」と指摘されていた三浦さんでしたが、 今日の演奏は出だしからシューベルトの歌心を感じさせるものと変わっていました。田崎先生はそこからさらに、 《楽興の時》の舞曲的な側面を伝え、いずれの曲もよりリズミカルに演奏できるよう指導してゆきました。
最後に受講されたのは、シューベルトの《感傷的なワルツ》を原曲にしたシューベルト=リスト《ウィーンの夜会》第6番で受講されている 森田基子さん。前回田崎先生からとりわけ細かい指導をいただいた序奏は、かなり磨きがかかっていました。 田崎先生は今日のレッスンでは続くワルツの部分について、拍の感じ方や細かいパッセージの処理の仕方について、細かく指導されました。 技巧的な部分も多いリストの作品は、各々のフレーズの語尾が粗末になってしまったり、カデンツァがぎこちなくなってしまったりしやすいの ですが、そうした技巧的に難しい部分を丁寧に練習することで、全体の仕上がりが大きく変わります。
先生が最後に強調されたのは、練習の仕方についてでした。大人の場合、家庭やお仕事の事情で満足に練習時間を取ることがなかなか 難しいですが、それでも練習時間内で何に気を付けるかによって、効率的に上達することが出来ます。 今日の先生の言葉は、音楽と生涯向き合おうとする方々にとって、大きな励みになったのではと思います。
Rep:(A.T.)